私は持論として『DIYで人生が変わる』と考えています。
これは大げさなものではなく、本当に自分自身の経験として考え方や性格にまで変化を与えているからです。
私は皆さんにもDIYに挑戦していただいて、ご自身の人生により良い変化をもたらしていただけたらと思っています。
そこで本記事では、『DIYのメリットとデメリット』と題して具体的にどのような変化があるかをご紹介します。
プロフィール
塗装歴25年の塗装職人
1級建築塗装技能士
今までに100種類以上の塗料を使用し、500件を超える現場に携わる
自他ともに認める会社内随一の器用さで自宅の寝室を和室から洋室へとフルリフォームしたり、水道蛇口混合栓の取り換えやスパイスラックの自作など様々なDIYに取り組む。
もっと詳しく知りたい方は→プロフィール
DIYのメリット
DIYのメリットは大きく分けて7つあります
この7つのメリットを一つ一つ解説します。
コストを安くできる
DIYによって受けられる1番わかりやすいメリットはコストを安く済ませられるということです。
既製品や業者など、どんな些細なことでもその道のプロにお願いするとなるとコストは多くかかるもの。
例えば私の職業柄パッと思いつくのは外壁塗装です。
一軒家の塗り替えを塗装業者にお願いするとざっと100万円前後はかかることでしょう。
これをDIYでやるとなると、30~40万円で塗り替えることも可能です。
もちろんDIY初心者が簡単にできることではないですが、
私のように塗装に関しての知識と技術がある人であれば、DIYでの外壁塗装も不可能ではありません。
ここまで大げさでなくても、水道蛇口の取り換えなどを業者にお願いすると作業費と出張費だけで1~2万円、それに加えて交換用の部材費がかかりますが、DIYなら部材費と簡単な工具だけで取り換えができます。
材料費に関しても、間に業者をはさまずにネットを使えばプロが使うものと同じ部材を安く仕入れられる。
もちろん業者にお願いしたほうが仕上がりがキレイで安心できますが、DIYで多くのコストカットを実現できるのは大きなメリットでしょう。
経験が身につく
DIYをすることで様々な経験をして、その知識や体験を積み上げることができます。
「やったことがないからわからない」
と、あきらめる方がいますが、どんな仕事であろうと誰もが初めは素人からのスタートです。
仕事では上司や先輩から仕事のやり方を教えてもらうことでしょう。
DIYでは基本的に自分で調べることからスタートします。
現代ではインターネットサイトやYouTubeなどから多くの情報やノウハウを学ぶことができます。
そうして勉強したことを一つ一つ試していって成功と失敗をくりかえしていけば、積みあがった経験がやがて技術として身についていくでしょう。
問題解決力が身につく
DIYをやっていくうちに問題を解決するための思考力が身に付きます。
問題や困りごと | 従来の解決法 | DIY的思考 |
お風呂の混合栓が壊れた | 修理業者に頼もう | 混合栓を買ってきて自分で取り替えよう |
スペースがなくてキッチンが片付かない | 使用頻度の低いものを捨てよう 新しい食器棚を買ってそこにしまおう | スパイスラックを自作してスペースを増やそう 流しの下を立体的に収納できるようにしよう |
部屋のイメージを変えたい | 家具の配置を変えて模様替えをしよう リフォーム業者に頼もう | 自分で壁紙を張り替えよう ペンキを塗って部屋を明るくしよう |
これはほんの一例ですが、多くの人は家の中で何か問題や困りごとが起こった場合には、既製品や業者にお金を支払って解決する方法をとるでしょう。
もちろんプロに頼まなければいけない場合もあります。
電気工事やガス工事は取扱いに資格が必要ですので素人にはできませんね。
ですが、調べてみれば意外と簡単な方法で解決できることもけっこう多くあります。
例えば水道蛇口の交換などは特別難しい技術が必要なわけではありませんし、ネットで見つけられる情報だけで誰でも実現可能です。
DIYをすることによって「まずは自分で何とかできないか考えてみよう」という思考になって、問題解決へのプロセスを考えるようになります。
この問題解決力は実際の仕事においても家庭においても必要なものですので、身に着けておいて損はないでしょう。
自己肯定感があがる
DIYをはじめるときはなるべく簡単なことからはじめましょう。
たとえ簡単なことでも自分の力でやり遂げたとき、それは小さな成功体験になります。
もし失敗しても、簡単なことであればダメージも少なく失敗の原因追及も楽です。
そうしてトライ&エラーを繰り返すうちに、小さな成功体験を積み上げていき、
「自分はやればできる」「何事もやってみればなんとかなる」
といった自信を持つことができるようになります。
自分に自信を持つことは自己肯定感を上げるための大きな一歩と言えるでしょう。
ものに愛着がわく
DIYで作り出したものや修理したものには愛着がわくものです。
もの一つをとっても、作り出すには多かれ少なかれ勉強と苦労が必要。
その労力を考えたとき作り出したものを大切にしようと感じることでしょう。
私は部屋の掃除が苦手でしたが、自宅の寝室をフルリフォームして以来、寝室にゴミ箱を置かずその日のゴミは翌朝には必ず1階ののゴミ箱に捨てるようにして、掃除もこまめにするようになりました。
そのうちにDIYで作ったものだけでなく既製品や他のものも大切に扱うようになりました。
愛着を持ってものを大切にすると、元気に長持ちしてくれて、よりかわいく感じるようになりますよ。
ハンドメイド作品として販売できる
DIYは家の中で使うものだけとはかぎりません。
要は自分で作ったものを製品化して販売することも可能です。
ハンドメイド作家の多くは、元は趣味で作っていた小物とかを商品として販売し始め、人気が出て事業になったというケースがよくあります。
自分には人に売れるようなものは作れないと思いがちですが、初めは誰もがその程度です。
完璧を求める人は既製品を買い、ハンドメイドを求める人は完成度よりも作り手から感じるぬくもりやかわいさに魅力を感じる人が多いです。
自分の作品を商品として販売するようになると、より効率的によりクオリティの高いものを作れるようになるので、自身のレベルアップを感じられることでしょう。
既製品にないオリジナル作品が作れる
DIYの良いところとして既製品にはないオリジナルな要素を好きなだけ組み込むことができる点にあります。
「もっとこんな機能が欲しかった」
「デザインはいいけどここが使いづらいなぁ」
既製品に対してこんなことを感じたらオリジナリティをだすチャンスです。
あなたがそう感じるときはほかの人も同じ不満を感じているということ。
そこをカバーしてオリジナルな商品を販売することができれば、副業につながりますよ。
DIYのデメリット
ここまでDIYのメリットばかりを上げてきましたが、もちろんデメリットもあります。
デメリットというより「考慮しておくべきこと」といった表現のほうが正しいでしょうか。
こちらの章ではデメリットとともにそれらへの対処法も解説していきます。
コストがかかる
メリットの1番初めに「コストを安くできる」と言っておきながら、矛盾したことを言っているようにきこえますがここでいうコストは『道具や設備』に対するコストです。
簡単なDIYだとしても、のこぎりやドライバーなどの最低限必要な道具をそろえる必要があります。
数百円で手に入るものもあれば、中には数万円、数十万円と大金がかかる工具もあります。
ですが、一度しか作らないもののために数万円の道具を買う必要はありません。
高い工具は電動であったり精密な作業ができたりと基本的なこと以上の価値がある場合が多いので、もっと安い道具で代用できるはずです。
その工具を買わないとできないような作業は業者さんにお任せしましょう。
何より道具というものは、大切に扱うことで長持ちして何度でも使うことができるので、作りたいものに合わせて少しずつ種類を増やしていけばいいでしょう。
けがのリスク
DIYで簡単な木工作業をするにしても、のこぎりやカッターなどの刃物を使用する場面は多くあります。
脚立に上って高所で作業する場合は、バランスを崩して落下する危険性もあります。
では、どのようにすればけがのリスクから自分を守れるのでしょう?
私のように職人として現場で長く働いている人は、作業の前にどんな危険が潜んでいるか、その道具の使い方は正しいかなど想像力を働かせて頭の中でシミュレーションします。
たとえば、手のひらの上で包丁を使って豆腐を切るとき、包丁を手前にスライドさせて切ったりしませんよね?
そんなことをすれば豆腐だけでなく手まで切れてしまうことは簡単に想像できるからです。
それと同じようにカッターで紙を切るときに、刃の進行方向に手を置くと危険であることも想像できるでしょう。
脚立で作業をするときに、脚立の天板にのって無理な体勢で力仕事をすればバランスを崩しやすいことも想像できます。
このように今から行う作業にはどのような危険があるのか、それを防ぐにはどうすればいいかを前もって考えるだけでもけがのリスクは大きく減らすことができます。
それでも手指を切ったり、飛び散ったホコリや破片が目に入ったりと思いがけないけがをする場合があるので、前もって刃物で手を切らないための『防刃手袋』や飛んでくる破片から目を守る『保護メガネ』などの万全を期した装備でけがを防ぎましょう。
時間がかかる
当然といえば当然ですが、DIYでは時間が必要になります。
時には学ぶことからはじめる必要がありますし、水漏れなどの緊急事態では悠長に学んでいる時間がないかもしれません。
一刻を争う事態では業者にお願いした方がいいでしょう。
ただし、緊急事態であることを逆手にとって足元を見てくるぼったくり業者がいます。
交換用の部材費を安く仕入れていながら、お客様に対してはメーカーの定価で請求するパターンもあると聞きます。
業者にお願いする際にはそのような悪徳業者の餌食にならないようにご注意ください。
対処法の一つとしては、水漏れの場合は地元の水道局に連絡して信用できる水道工事業者を紹介してもらうなど、公的機関からの紹介を活用すればぼったくられる危険性は減らせます。
何より大切なことは、DIYでものを作ったり修理する時間を楽しむことです。
一人では大変な作業も家族や友達と一緒にやることで楽しんで作業することもできます。
時間をかけて、苦労して作り上げたものだからこそ、完成した時の達成感は最高ですよ。
手先の器用さが必要
DIYではどうしても手先の器用さが必要になってきます。
自分は人より不器用だからDIYなんてムリだよ……
そんな声が聞こえてきそうですがご安心ください。
器用さは人と比べるものではなく、正しいやり方と練習で克服できます。
器用さは人と比べてはいけない
保育園でお絵かきをする子供たちの中に「僕は不器用だから絵が下手なんだ……」なんていう子はいませんよね?
子供たちは楽しく自由にお絵かきをすることが重要で、絵のできばえを人と比べようとはしていないんです。
作ったものを既製品と比べたり、誰かが作ったお手本と比べたりするから自分が不器用だと感じます。
自分の中で納得できるものを作ることが大切で、だれかと比べる必要なんてないんです。
正しいやり方を守る
どうしても上手くできないという人は、そもそも正しいやり方を知らないか自己流でやっているパターンがあります。
のこぎりを使った正しい木の切り方をちゃんと知っていますか?
- 切りたいところに目印の墨線を入れる
- 目線は墨線とのこぎりの真上にあり墨線とのこぎりが重なるように構える
- のこぎりがズレないように親指をあて、はじめはゆっくり細かく切っていく
- のこぎりの角度は水平に近い角度から徐々に斜めになるように立てていく
- のこぎりを引くときに力を入れ、押すときは軽く押す
- 切り終わりはのこぎりを垂直に立てて軽く引いて切り落とす
このようにのこぎりを使った木の切り方ひとつをとっても、正しいやり方というものが存在します。
それを知らずに自己流で木を切って、上手に切れないから自分は不器用だというのは思い込みです。
まずは正しいやり方を学び、愚直に守ることで体得しましょう。
勝手に作業を省略しない
たとえプロでも必要なプロセスを省略すれば良い仕上がりにはなりません。
要するに手抜きはダメってことです。
最初はきっちりやっていたのに慣れてくると手抜きを覚えるようになってきます。
人間は面倒なことを避けたがる性質があるので気持ちはわかるのですが、面倒を避けすぎて安全に作業を進めるために必要な行動まで簡略化しようとするとけがにつながる。
特に電動工具はスピードとパワーがけた違いなので、正しく扱わなければ大けがをする可能性があります。
ひたすら練習と経験を積む
何をおいても練習こそが不器用を克服する最善の方法です。
のこぎりで1本目の木を切った時より10本目の木を切った時のほうが上手くできます。
100本目の木を切るころには木を切ることに対して不器用だとは感じなくなっていることでしょう。
どんなことでもはじめは誰もが初心者です。
塗装職人歴25年の私でもはじめは上手く塗れませんでした。
何度もハケを使い、「もっとキレイに、もっと早く塗るにはどう動かせばいい」と試行錯誤を繰り返した末に今の技術を身につけることができたのです。
DIYで不器用は克服できます。
まとめ
本記事ではDIYのメリットとデメリットをご紹介しました。
記事の初めに申し上げた通り私はわりと本気で、
『DIYで人生が変わる』
と思っています。
- 小さな成功体験と達成感は、やがて大きな自信となり、自己肯定感を高める。
- 身の回りで問題が起きたとき、人任せにせず自分にできることを順序だてて解決していくことで、周りからも信頼される人になる。
- 正しいやり方を調べ、愚直に行えることは成功への近道となる。
大げさに聞こえるかもしれませんが、私自身もDIYによる変化のなかに身を置く一人です。
DIY=do it yourself
直訳すれば『自分自身でやる』
あなたの人生も自分自身の手でより良いものに『DIY』してみませんか?