工業的要素と実用性を取り入れたインダストリアルインテリア。
『無骨』『男前』『重厚感』など感覚的で具体性のない言葉でまとめられがちなジャンルです。
「具体的にどういったものがインダストリアルインテリアなの？」
と聞かれてスムーズに答えられる人は少ないのではないでしょうか？
この記事ではインダストリアルインテリアの歴史と本質を学ぶことで「インダストリアル風」にごまかさない、本来のインダストリアルインテリアを取り入れた素敵な部屋づくりのポイントや、
コンクリート、アイアン、無垢材の使い方から、スタイリッシュながら温かみのある空間作りのコツまで、実践的なポイントを豊富に紹介します。
インダストリアルインテリアを採用することで、理想の空間を実現するライフスタイルを目指しましょう。
インダストリアルインテリアとは？
インダストリアルインテリアとは、英語の「industrial（工業的な）」という言葉が由来のインテリアスタイルです。
工場のむき出しになった配管のように無骨で、工業地帯のように殺伐とした雰囲気を、インテリアに取り入れたテイストです。
インダストリアルインテリアは、機能美や無骨でかっこいいデザインとして、新築内装でも人気のインテリアテイストの1つ。
一見すると冷たい印象を持たれる方もいらっしゃるかとは思いますが、使い古されたような木材を利用したり、アンティーク調のレザーソファーを置くことで無機質な中に温かみを演出することもできます。
より暮らしやすく、温かみのあるお部屋にするには、好みに合わせて
- ブルックリンテイスト
- ナチュラルテイスト
- アメリカンテイスト
などを組み合わせてもよいでしょう。
インダストリアルインテリアの歴史
インダストリアルインテリアは、19世紀末から20世紀初頭にかけて、工業化が進展した時期に発展しました。
特にアメリカ合衆国では、産業革命によって大量生産と大量消費の一大ムーブメントが起こります。
この時代には工場や倉庫などの建物が大量に建設されましたが、需要に対して供給が過剰となり、その後倒産する企業が増加したのです。
その結果、これらの空き家となった工業施設や倉庫は、当時アメリカで深刻な問題だった住宅不足の解決策として再利用されるようになりました。
工業施設や倉庫を住居に転用する際、装飾を施さずに躯体を露出させたまま利用することで、工業的な要素や素材がそのまま活かされます。
- 鉄骨構造
- コンクリートやレンガの壁
- 大きな窓
- むき出しの配管
などが特徴的であり、これらがインダストリアルインテリアの基本要素となりました。
わざわざお金をかけて工場の内壁に壁紙を貼る必要はなく、倉庫に天井を作る必要もありませんよね？
インダストリアルインテリアの鉄骨やコンクリートの躯体現しやむき出し配管には意味があり、歴史的背景を知ることで説得力が出ます。
部屋の印象を決める要素
インダストリアルインテリアでは、壁や床、天井などの大きな面積を占めるパーツに工業的な要素を取り入れることで、部屋の印象が大きく変わります。
コンクリートや露出したレンガ、アイアン加工製品や塗装されていない木材などが、インダストリアルな印象を強く反映させる材料として利用できるでしょう。
インテリアで大切な色の選択
色使いはインテリアの印象づくりに直接影響します。
インダストリアルスタイルでは、モノトーンや渋い色合いが好まれます。
- コンクリートのグレー
- アイアンのブラック
- 使い込んだ木材のベージュ
- アンティークレザーのブラウン
彩度が低く、落ち着いた色調を選ぶことで、シックで洗練された大人の空間が演出できます。
また、アクセントカラーとして、アメリカの国旗を連想させる鮮やかな赤や青を一点投入することで、デザインに深みを与える効果が期待できます。
素材の重要性と選び方
素材はインダストリアルインテリアの根幹を成す要素です。
金属、ガラス、レンガ、木など、本来の質感を生かしたり、加工や装飾を極力抑えたナチュラルな状態で使用することで、無骨さと温かみを同居させた空間が実現します。
テクスチャのある素材を選ぶときは、部屋の中でバランス良く配分することが大切です。各素材が持つ特性を理解し、どう組み合わせるかをしっかり考えることが、個性ある部屋作りへと繋がります。
基本アイテムの選び方
インダストリアルインテリアにおいての基本アイテムは、工場や倉庫を再利用したという歴史的背景を考えるとムダな装飾は極力さけて、素材の味を活かしたアイテム選びがしたいものです。
家具の選び方
家具を選ぶ際は素材感を重視し、アイアン製のフレームや無垢材の質感を活かしたものを選びましょう。
デザインはシンプルかつ実用的なものが望ましく、過度な装飾は避けることがポイントです。
照明の役割と選び方
照明は空間の雰囲気を大きく左右します。
インダストリアルインテリアでは、素朴ながらもデザイン性の高いペンダントライトやフロアライトを選び、スチールやアイアン製のものなど、工業的な印象を与えるアイテムが適しています。
アイアン製のペンダントライトやエジソンランプなどを使用すると、無骨さとおしゃれさを両立した最高のインダストリアル照明を作ることができます。
アクセントになる小物
アクセントになる小物としては、オールドファン、アイアン製の時計、焼き印の入った木箱、アート作品などがおすすめです。これらの小物を適切に配置することで、よりインダストリアル感を引き立たせることができます。
壁面を活かしたデザイン
壁面はインダストリアルインテリアを際立たせる大きな要素です。露出したレンガやコンクリートの壁、またはそれを模した壁紙を利用することで、工業的な雰囲気を強調できます。
素材の影響力
インダストリアルインテリアにおいて、コンクリート、アイアン、無垢材といった素材は非常に重要です。
これらは無骨でありながらも、ある種の温かみを感じさせる特性を持っています。
それぞれの素材が持つ独特の質感と強さは、インダストリアルスタイルの基本となる雰囲気を形成します。
インテリアコーディネートのコツ
現実の日本の住宅で、部屋の中までコンクリート打ちっぱなしを再現するのは難しいでしょう。
特に賃貸などはすでに壁紙が貼ってあったり、天井もあったりでおいそれとリフォームもできません。
では、実際にはどのようにインダストリアルな部屋を作っていけばいいのでしょうか？
壁紙をコンクリート調のクロスに貼り替える
壁をコンクリート調やレンガ調の壁紙に変えるだけで、インダストリアルな雰囲気を大幅に高めることができます。
部屋の最大の面積を占める壁を変更することで、部屋全体をスタイリッシュで無骨な印象を演出することが可能です。
さらに、部分的に異なるテクスチャの壁紙を使うことで、おしゃれなアクセントを加えることも。
特に賃貸住宅では、原状回復可能なタイプの壁紙を選ぶことで、デザインを自由に楽しむことができます。
DIYができる方は、発泡スチロールを使用してモザイクレンガ調のパネルを作ることもできますので一度お試しあれ。
アイアンや木材を家具に取り入れる
アイアンや木材を使った家具は、インダストリアルスタイルの中核をなす重要なアイテムです。
アイアン製のフレームは、シンプルでありながらも強い存在感を放ち、無垢材のテーブルや椅子は温かみと自然な風合いをもたらします。
例えば、アイアンの脚が付いた木製のコーヒーテーブルや、木と金属を組み合わせたシェルフは、モダンでありながらも時代を超えた美しさを印象付けることができるでしょう。
木材を選ぶときは、塗装のしていない無垢材や、アンティーク加工の家具を選ぶことで、よりインダストリアル感を演出できます。
アイアンと木材の使用は、インダストリアルデザインを形成する上で、コンクリートやレンガの壁と肩を並べるほどの重要性を持ちます。
これらの素材は単なる装飾以上の意味を持ち、インダストリアルスタイルの魂を形作る核心部分です。真のインダストリアル空間を実現するためには、これらの素材の適切な選択が必須となります。
お子さんがいらっしゃるご家庭には「室内うんてい」を、運動不足の改善や筋トレをしたい方には「懸垂バー」の取り付けをオススメします。
どちらも重厚感のあるアイアン製つや消しの黒ですので、インダストリアルデザインにピッタリのアイテムです。
アートとインテリアの組み合わせ
インダストリアルスタイルの空間にアートを取り入れることで、部屋に深みと個性を加えることができます。
工業的なテーマの絵画や写真、メタルアート、抽象的な現代作品、ヴィンテージポスターなどは、重厚なインダストリアルスタイルに芸術性をもたらします。
自分で作ったDIYアートを飾ることも、空間に創造性と個性を表現する素晴らしい方法です。
多機能性を追求した家具選び
都市型住宅におけるインダストリアルスタイルの実現には、多機能性と省スペースを考慮した家具選びが重要です。
収納付きコーヒーテーブルや折りたたみ式デスクなどは、限られた空間を有効に活用するのに役立ちます。
これらの家具は、実用性を追求しつつも、インダストリアルな雰囲気を保つデザインが特徴です。
狭い空間でも機能的であり、スタイリッシュなインテリアを実現するための鍵となるでしょう。
より工業的な印象を出すには、整備工場などで使用される「ツールキャビネット」が小物入れや書類などの収納として活用できます。
空間を広く見せる工夫
部屋を広く見せる工夫として鏡の使用は非常に効果的です。
メタルフレームの鏡は、インダストリアルスタイルと相性が良く、空間に深みと広がりをもたらすでしょう。
鏡は光を反射させることで、部屋全体を明るくし、より開放感のある雰囲気を作り出します。
このように、スタンドミラーや姿見を上手く配置することで、限られたスペースでも広々とした感覚を演出できるのです。
このシンプルながらも効果的なアプローチは、特に都市型住宅やコンパクトな空間に最適です。
インダストリアルインテリアのアレンジ方法
インダストリアルインテリアの基本をおさえたら、アレンジを加えることで自分らしさを演出してみましょう。
ミックス＆マッチの技術: インダストリアルスタイルを現代的にアレンジする
インダストリアルスタイルを現代的にするためには、伝統的な要素とモダンなデザインを融合させる「ミックス＆マッチ」の技術が効果的です。
たとえば、無骨なインダストリアルスタイルの部屋に、鮮やかな色のクッションを加えることで、空間に新鮮さと軽やかさをもたらすことができます。
具体的には、黒やグレーの重厚なインダストリアル家具に対し、鮮やかなブルーやグリーンのクッションを配することで、部屋に明るさと現代的な雰囲気を加えます。
また、抽象的な現代アートを壁に飾ることで、伝統的な工業的要素と現代的な芸術性が融合し、独特な空間を創り出すことができます。
欧米の産業革命時代をモチーフとしたインダストリアルデザインでは、アメリカやイギリスの国旗柄をアクセントに使用することも歴史的背景を盛り込む意味付けとして効果的です。
ヴィンテージ感の出し方
インダストリアルスタイルにヴィンテージ感を加えるには、使い込まれたような歴史あるアイテムの使用が鍵です。
摩耗感のある木製テーブルや、使い込まれた金属製のランプなどが、ヴィンテージ感を出します。
錆びかけたハンマーやスパナなど、古い工具をデコレーションとして活用するといった方法もいいでしょう。
DIYで古材を再活用することで、自分だけのヴィンテージスタイルを作り出すことも可能です。
このように、年月を感じさせるアイテムを上手く取り入れることで、インダストリアルな空間に温かみと歴史の重みを加えることができます。
植物や緑を取り入れた空間作り
インダストリアルデザインの空間に植物や緑を取り入れることで、無機質な印象を和らげ、自然な温かみと生命感を加えることができます。
大きな工業用メタルポットに入った観葉植物や、壁かけタイプの植物
などは、モダンでありながら自然な美しさを提供します。
ハーブや小さな植物をキッチンカウンターや棚に配置することで、生活空間に緑を取り入れることも効果的です。
また、吊り下げ式の植物や、アイアンフレームを使った植物棚などを使って、高さのある緑の演出をすることも、インダストリアルスタイルの空間をより立体的にすることができます。
このように、植物を上手に取り入れることで、インダストリアルな空間をより居心地の良い、息吹あふれる場所に変えることができます。
まとめ
インダストリアルインテリアを活用して、あなたのお部屋に独特の魅力を。
コンクリート、アイアン、無垢材の使用で、部屋に力強さと同時に温かみをもたらし、ヴィンテージアイテムや植物で空間に生命感を加えます。
壁紙を変えるだけで大きな変化を実感でき、アイアンや木材を活かした家具は機能性とスタイルを兼ね備えています。
多機能家具でスペースを賢く活用するインダストリアルスタイルで、スタイリッシュでありながら居心地の良い部屋作りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
