テーブルの表面がいたんできたなぁ、かといって買いかえるのはもったいないし・・・
DIYでぬりかえができないだろうか?
そもそもどうやってぬりかえるんだろう?
もしくは、
塗装のプロがホームセンターの塗料でテーブルのぬりかえをしたらどんな仕上がりになるのかしら?
ここまでピンポイントな疑問を持たれる方は少ないかとは思いますが、そんな方々にむけて塗装職人である私がテーブルのぬりかえ方をくわしく解説いたします。
私は1996年頃から25年間、塗装の仕事にたずさわってきました。
その長い塗装歴のなかで何度も家具やカウンターを塗ることがありました。
その経験をもとに、ホームセンターで手に入る材料を使って自宅のテーブルのぬりかえをしてみたらどんな仕上がりになるかやってみました。
道具や塗料の費用、1万円ほど
作業時間、まる1日
DIYであればこれくらいでテーブルのぬりかえはできます。
業者にたのめばキレイに仕上がりますがそれなりに費用がかかります。
ご自身でやれば費用もおさえられるうえ、愛着をもてますので今後も大切にあつかわれることでしょう。
ぬりかえをするにあたって、作業前から完成までの全行程を動画で撮りました。
各工程ごとにわけて一連のながれと動き方がわかるように編集してあります。
さらに5つの工程それぞれの動画の下でくわしく解説をしていますので、より理解を深めていただけるでしょう。
このブログ記事とYouTube動画を見ていただければ塗装初心者の方にも私と同じようなテーブルのぬりかえができるようになりますので、ぜひ最後まで読んで実際に挑戦してみてください。
ぬりかえにかかる費用と作業時間
家具のぬりかえを請け負う業者にたのめば、テーブルの状態や塗装仕様にもよりますが4〜7万円くらいはかかるでしょう。
ここに運搬費用が上乗せされるものと考えたらいいと思います。
もしも私が仕事としてテーブルの天板のぬりかえを請け負うとしても運搬費は別で4万円くらいはいただきたいです。
自分のテーブルを自己責任でぬりかえをおこなう場合にはそういった業者にたのむ費用を抑えることができます。
しかし、いかにDIYといえど道具代や材料費などのお金は必要になります。
そこで一度買っておけば今後も使用できる道具と、使えばなくなってしまう塗料や消耗品とを分けて参考までにその一例をご紹介します。
そして、ザックリではありますが作業時間の目安も書いておきます。
塗装道具の費用
トータル約5000円〜7000円
ハケ:水性ハケ40mm | 500円 |
コテバケ | 700円 |
豚毛ブラシ | 200円 |
皮スキ | 350円 |
オービタルサンダー | 3000円〜5000円 |
塗料など消耗品の費用
トータル約5300円
水性剥離剤 | 1500円 |
サンドペーパー | 500円 |
カラーニス | 900円 |
2液性ウレタンクリアニス | 1800円 |
ツヤ消し剤 | 300円 |
養生:マスカー1100mm | 300円 |
購入するホームセンター、ネットショップによって価格が変わってくるのでおおよその目安です。
道具や塗料を個別にネットで注文するとそれぞれに送料がかかる場合や割高になる可能性があります。
ホームセンターでほとんどはそろいますが車がなかったり、ホームセンターで購入するのが面倒な方はこちらの通販サイトを利用されるのも良いかと思います。
作業時間の目安
9:00~9:30 | 剥離剤塗り、ラッピング | 30分 |
9:30~10:00 | 浸透時間 | 30分 |
10:00~11:30 | ペーパー研磨 | 1.5時間 |
11:30~12:00 | カラーニス1回目 | 30分 |
12:00~13:00 | 乾燥時間、昼休憩 | 1時間 |
13:00~13:10 | カラーニス2回目 | 10分 |
13:10~14:00 | 乾燥時間 | 50分 |
14:00~14:10 | カラーニス3回目 | 10分 |
14:10~15:00 | 乾燥時間 | 50分 |
15:00~15:30 | ウレタンニス1回目 | 30分 |
15:30~16:30 | 乾燥時間 | 1時間 |
16:30~17:00 | ウレタンニス2回目 | 30分 |
このタイムスケジュールはあくまでも目安ですが、初心者でもまる1日あればこれくらいの塗装ならできるということがおわかりいただけたと思います。
作業時間を短縮できたらその分を乾燥時間に当てればなおいいでしょう。
動画内では日当り良好な環境で塗装しているため乾燥時間を短くとっています。
上のタイムスケジュールは室内で作業をした場合だと考えてください。
塗装に取りかかる前に用意するもの
作業前に服や道具をそろえておきましょう。
事前準備をばんたんにしておけば作業自体をスムーズに進めることができます。
ここでは
- 作業時の服装
- 塗装に関する道具
- 保護具
に分けて解説します。
作業時の服装
塗装にかぎらずどのようなDIYでも言えることですが、作業をするには汚れてもいい服装に着替えましょう。
立ったりしゃがんだりが多いので、動きやすい服装であることも大切です。
今回の塗装自体はそれほど塗料がとび散ることは少ないですが、万が一ということもあります。
工程の中にあるペーパー研磨の時点でホコリまみれになりますので服装とともに帽子かタオルを頭にかぶることをオススメします。
塗装に関する道具
以前このブログで紹介しました道具に関する記事
この中からハケ、皮スキ、ポリ容器、ウエスを使用します。
それらに加えて、サンドペーパーとオービタルサンダーを用意します。
オービタルサンダーとは、仕上げサンダーともよばれサンドペーパーを付けたプレートを小刻みに振動させて木材などの表面を削る道具です。 平らな面を削る際に深いキズをつけにくいため安心して使用できます。
オービタルサンダーは安いものなら3000円前後でありますので、余裕のある方は購入してもいいかと思います。
室内で作業される方は必要に応じてホコリ対策として大きめのポリシートなどの養生を用意してください。
養生についてはこちらの記事でくわしく解説しています。
保護具
サンドペーパーで研磨するときにはホコリが舞います。
ホコリを吸いこまないようにマスクを着用しましょう。
ウイルス用のマスクでも多少は防げますが密着度が違うので、できれば密着性にすぐれた防じんマスクの方が良いです。
手袋は軍手でもゴム手袋でも良いですが、軍手はあまりに濡れると手まで浸透します。
塗料は水性塗料を使いますので軍手に染み込んで手が汚れても水で洗い流せばすみますが、剥離剤を使用するときは手に付着すると荒れることがありますのでゴム手袋を使用したほうが良いです。
ちなみに私は仕事にも使うためシンナーに強いタイプのニトリルグローブMサイズを使用しています。
テーブルのぬりかえ方法
施工前
まずは施工前(作業前)の状態から。
わが家のテーブルは表面にツヤがあり一見キレイな塗膜があるように見えます。
それもそのはず2年ほど前に2液性ウレタンクリアでコーティング塗装をしていたからです。
ですがそのときのクリア塗膜がところどころキズがついたりはがれてきていたので再塗装をすることにしました。
キッチンで作業をするにはスペース的にせまいことと研磨のときのホコリで部屋のなかが大変なことになる恐れがありましたので屋外のガレージで作業することにしました。
もしも屋外で作業することがムズかしく部屋のなかでの作業になる場合は、なるべくホコリが舞いとばないように電動工具を使わずに手作業で研磨をして、こまめにそうじをした方がいいです。
オービタルサンダーで研磨すると大量にホコリや削りカスが出ます。
それらを自動で吸引して袋にためるタイプの集塵機付きオービタルサンダーというものもあります。
室内で作業をする場合はこのタイプの方が良いですね。
塗膜の剥離
塗装をする前に現在の塗膜を剥がしてからでないとキレイな塗膜を作ることができません。
なぜならクリア塗膜の上にカラーニスを塗ったところでニスが密着しにくく、剥がれやすい状態になってしまいます。
なのでまずは既存の塗膜を剥がすことから始めるのですが、購入時のテーブルの塗膜にくわえて以前に自分で塗ったクリア塗膜があります。
そのすべてをサンドペーパーで削るには時間がかかりすぎると思いましたので剥離剤を利用することにしました。
実は今回のぬりかえをするにあたって他のサイトや動画をいくつか拝見しましたが、剥離剤を使っていらっしゃるかたは少なかったです。
剥離剤を使用すれば浸透するまでの待ち時間はありますが、労力は圧倒的に少なく済みますしペーパーがけのときに出るホコリも少ないので私はこちらを選択しました。
後ほどサンドペーパーで研磨することになりますが、使用するペーパーの枚数も少なく済みます。
動画でも少しふれていますがスポンジブラシではなく数百円の豚毛ブラシで剥離剤を伸ばしたほうがよかったです。
水性の剥離剤ではありますが浸透力が強いのでスポンジを溶かしてきてたのでしょう。
剥離剤を塗り終わりましたら剥離剤が乾燥する前にラップをして乾燥を防ぎます。
この文章を書いているときに気づきましたが、乾燥を防ぐにはラップもいいですが養生に使用するマスカーやポリシートを使えば一度に大きな範囲をカバーできるのでコストパフォーマンスが良いかもしれません。
30分程度の浸透時間をとったあと、浮き上がった塗膜を皮スキで削り取るのですが、そのときにテーブルをキズつけないように気をつけて下さい。
力を入れすぎてテーブルの表面をえぐってしまうと手直しができない場合がありますので注意が必要です。
ペーパー研磨
ある程度ニスを剥がすことができたらテーブルの表面をサンドペーパーで平らに削ります。
このときに少々のキズや塗料の残りなどは削り取ってしまい、木材本来の状態である白木にまで戻します。
電動工具を使えるのなら上記でご紹介したオービタルサンダーをオススメします。
回転式のサンダーで削ると、作業は早いのですが上手にあつかわないと表面がデコボコになってしまいますので修復がムズかしくなります。
このときにホコリを吸わないように防じんマスクを付けてください。
また、ここでオススメしているオービタルサンダーは最安値のものではなく『速度調整機能』『集塵機能』『ペーパーストッパー』などの機能面も考慮してコストパフォーマンスにすぐれたものをオススメとしてご紹介しています。
カラーニス塗装
塗料はホームセンターで「ワシン 水性ウレタンニス ツヤ消しエボニー」というカラーニスを購入しました。
カラーニスとは着色ニスともいい、その名の通り”木材への着色”と”ニスによるコーティング”を同時におこなう塗料です。
実はこのタイプのカラーニスを仕事で使うことはあまりないです。
なぜなら、仕事で木材の塗装をするときには色ムラを出さないように、着色とニスを分けて塗装するからです。
たとえば着色のときには少し多めのオイルステイン塗料を木材に吸い込ませて、吸い込みきらなかった塗料はウエスでふき取ります。
ですから作業者の技量に関わらず色ムラが出にくい工法での作業をします。
オイルステインについてはこちらの記事でくわしく解説しています。
カラーニスは塗り重ねた部分の色が濃くなりますので、テーブルくらいの大きさなら端から端までひとハケで塗りましょう。
ハケでの作業がムズかしいと思う方はコテバケを使うとより簡単に塗りつぎなく仕上げられます。
今回使用したワシン水性ウレタンニスは本来の乾燥時間を90分と記載されていました。
ですがそれは室内での作業を前提とされています。
作業をした日は天気が良く、また日当たりも良かったので乾くのが早かったです。
この辺の感覚は長年の経験で判断していますので、作業時間に余裕があるならもう少し長めに乾燥時間をおいてから塗り重ねてもいいと思います。
クリア&完成
カラーニス塗装を終えた時点で完成の予定でしたが、乾燥を確かめるために素手で触ってみたときに表面に若干のプツプツとした感覚がありました。
考えられる理由としては
- ニスを塗って生じた毛羽立ちがペーパーで削りきれていなかった
- 直射日光の熱によってニスに含まれた気泡が消える前に乾いてしまった
これを解消するにはいったん表面のプツプツをサンドペーパーで削りとって、もう一度カラーニスを塗るか、ウレタンクリアで保護膜を作る方法があります。
カラーニスはすべて使い切ったので今回はウレタンクリアを塗ることにしました。
このウレタンクリアですが、2液タイプを使います。
2液タイプを使うメリットは耐熱性と耐摩耗性にすぐれている点です。
つまり、テーブルはお鍋やヤカンなどの熱いものを置くことが多いので耐熱性が必要になり、耐摩耗性があることでキズがつきにくいということです。
ウレタンクリアを購入するときにはツヤをどうするか考えておいたほうがいいでしょう。
オススメは半ツヤですね。
なぜなら、ツヤありにするとテーブルがツルピカに光るので、カラーニスを塗ったときのハケあとが悪目立ちする可能性があります。
逆にツヤ消しにすると、光の反射がなくなりくすんだように見えます。
アンティーク調を求めるならツヤ消しでもいいですがせっかくキレイにぬりかえたのでしたら
半ツヤに仕上げて新品のようななめらかさを感じてみてはいかがでしょう?
動画内では上で解説したように乾燥時間を少なめにしておりましたが完全硬化までにはもっと時間が必要です。
あくまでも表面的な乾燥だけなら数十分で乾燥しますが、硬化には時間がかかりますので完全に硬化するまではテーブルに物を置くことはさけてください。
動画内で使用したウレタンクリアはネットで購入することはできますが、DIYで使用するには大きすぎると思います。
ですのでお求めやすいサイズの同等品をご紹介しておきます。
まとめ
作業工程の順序をまとめると
- 周りが汚れたりホコリまみれにならないように養生をする。
- 剥離剤を獣毛ブラシで塗りひろげる。
- ラップして30分浸透させる。
- 皮スキを使って浮いた塗膜を削りとる。
- オービタルサンダーでテーブルの表面が白木になるまで平らに削る。
- カラーニスを乾燥時間を開けつつ木目に沿って数回塗る。
- 2液タイプのウレタンクリアを塗って保護塗膜を作る。
- しっかり硬化時間が経過したら完成。
テーブルのぬりかえ塗装くらいならここで解説した方法を使えば初心者でも実現できます。
乾燥時間をふくめても、まる1日もあれば仕上げまでできますし翌朝には硬化も完了しています。
新しいテーブルで気持ちよく朝食を食べることができるのではないでしょうか。