オシャレな部屋にはカッコいいローテーブルがある!!
私の勝手な思い込みです。
ローテーブルのある部屋でソファーに座って映画を観ながらコーヒーを飲む。
なんてカッコいいじゃないですか!!
そんなあこがれをいだきつつ、まずは家具屋さんにローテーブルを見に行きました。
さまざまな形のローテーブルが並んでいましたがその中に車輪が付いていて、台車とテーブルが合体したようなデザインのものがありました。
ですが、オシャレなローテーブルは総じて高いです。
そんなときは・・・作ってしまいましょう。
今回の記事は、材料の調達がかなり特殊なので皆さんにとって再現性があるかと問われれば、むずかしいとは思いますがこんなやり方もあるってことを知ってもらえたら幸いです。
会社から塗装台車をもらう
私は塗装業者に25年ほど勤めています。
数年前までは自社で焼き付け塗装を請け負っていましたが現在は住宅塗装や工場での塗装をメインとしていますので事業縮小をしました。
当時の名残で会社には塗装ブースや台車などが残っています。
塗装ブースとは、排気設備がある吹付け塗装を行うスペースのことです。
排気設備は吹付け塗装を行なうときにとび散る霧状の塗料を吸い込んでフィルターや水でろ過して外気に塗料を出さないようにする設備です。
台車はいくつもありますし、もう使うこともありませんでしたので社長に言って1台もらいました。
使っていないパレットももらう
私が作ろうと思い描いたローテーブルは、アンティーク調でありと重厚感のあるものでした。
ですので天板に使う木材がツルッとキレイな新品ではイメージに合わないのです。
そこで目をつけたのが会社に転がっていた、使っていないパレットでした。
パレットなら木材としても丈夫ですし、表面には長年の使用による劣化やキズが残っていて、風合いとして最高でした。
こちらも社長に言って、1枚もらいました。
台車の塗装
吹付け塗装によって何重にも塗り重なった塗膜でボコボコになっている台車をそのまま使うわけにはいかないので、いったん削ってから再塗装します。
サンダーで塗膜の除去
電動工具のサンダーを使って古い塗膜を削っていきます。
かなり強固に付着していたので、ところどころハンマーで叩き割ったりしながらていねいに削りました。
固着していた車輪も動くようになりました。
サビ止めを塗装
サビ止め塗料にもさまざまな種類があります。
今回は塗装業者であるわが社が使う塗料の中でも強力な塗膜を作るタイプの塗料を使用しました。
日本ペイントの「ハイポン20デクロ」というサビ止め塗料です。
この塗料は「2液型変性エポキシ樹脂下塗り塗料」という種類のもので、高速道路の鉄骨にも使われるほど防サビ性と密着性にすぐれた塗料です。
簡単に言うと「室内で使うローテーブルに塗るようなサビ止め塗料じゃねぇ!!」ってくらい強力なサビ止め塗料です。
上面が乾いたらひっくり返して下面も同じくサビ止めを塗ります。
絶対にサビさせたくなかったので、塗膜をかな~り厚めにコッテリ塗りました。
この塗料は厚めに塗っても、時間をおけば硬化剤による化学反応で完全硬化になりますので乾燥時間は多めにとりました。
シリコン塗料で塗装
サビ止めが乾いたら上塗りを塗っていきます。
上塗りの塗料はSK化研の「クリーンマイルドシリコン」を2回塗りしました。
色は重厚感を出すためにこげ茶色にしました。
この上塗り塗料は汎用性が高く一般的な家の外壁や鉄部などさまざまな場面で使用できる塗料です。
材質も弱溶剤シリコン樹脂系なので超低汚染性と超耐久性を備えています。
まぁ、室内で使うローテーブルに超低汚染性や超耐久性が必要か?と聞かれたら困りますけど・・・
ちなみに、今回使用した塗料はすべて会社に残っていたあまりものの材料を使用しました。
ですので塗料代はいっさいかかっておりません。
社長に感謝!!
パレットを解体して天板に
パレットの解体
パレットの解体からはじめるのですが、さすがにパレットに打ち込まれているクギは強固でした。
なのですべてのクギを抜くのではなく、両サイドのクギの手前で先に電動丸ノコでカットして中のクギだけを抜く作戦にしました。
このときに板の長さができるだけ長くなるようにカットしました。
太く丈夫な木の棒を使ってテコの原理を駆使しながらなんとか解体ができました。
台車に天板を作成
パレットを解体してできた木材を、台車の枠より数ミリ大きいサイズにカットします。
それをハンマーで無理やり叩き込みます。
台車の枠はチョットやそっとの力では曲がらないので、ガンガン叩き込んでも大丈夫ですし、それによって簡単には外れなくなります。
そこにオイルステインで塗装したコンパネを捨てばりします。
そしてパレットの板を使って天板を作ります。
抜いたクギの穴をビス止めの穴に再利用したり、あえてキズのある面を上にしたりと調整しながら天板の位置を決めてビスで固定します。
この時点では天板は台車よりかなり大きくはみ出していますし、端もそろっていません。
そこで余分な天板をまっすぐにカットします。
天板の塗装
天板の塗装には教科書通りの塗装方法で仕上げました。
OSCL(オイルステイン・クリアラッカー仕上げ)という工法になります。
もちろんホームセンターに売ってあるようなカラーニスなどは使いません。
木材の着色
大谷塗料の「VATON」という木部用着色塗料をしっかりと染み込ませます。
染み込みきらなかった塗料はウエスでふき取ります。
こうすることによって色ムラがなく均一に着色することができます。
着色塗料のズレ止め
バトンが乾いたら、ズレ止めに「VATONシーラー」を塗ります。
ズレ止めと言われてもよくわからないと思いますがこれに関しては後で説明します。
サンディングシーラーを塗る
サンディングシーラーを塗ることにはいくつかのメリットがあります。
- 木材の吸い込みを止める
- あえて木材を毛羽立たせる
- サンドペーパーをかけられるようにする
木材の吸い込みを止めることで、次に塗るクリア塗膜の吸い込みムラを防ぎます。
サンディングシーラーを塗ると木材の表面が毛羽立ちます。
そこにサンドペーパーを当てることで毛羽立ちを削りとると同時に、細かい凹凸を作り次に塗るクリア塗料の密着性を上げることができます。
着色塗料のズレ止めについて。
サンディングシーラーはラッカー系の塗料です。
ラッカー系の塗料は溶剤が強いので着色した塗料を溶かしてしまいます。
着色した塗料が溶けると色ムラの原因になります。
バトンシーラーはアルコール系なのでサンディングシーラーでは溶けにくいのです。
バトンシーラーを間に塗ることでキレイに着色した塗料を溶かすことなくサンディングシーラーを塗ることができます。
これをズレ止めと言います。
クリアラッカー仕上げ
最後にクリアラッカーニスで表面をツルッツルに仕上げます。
バトンで着色、バトンシーラーでズレ止め、サンディングシーラーで吸い込み止め、サンドペーパーで下地調整をしました。
ここまで下地作りをしっかりしておけばクリアニスのツヤもキレイに出ます。
まとめ
アンティーク調であり重厚感のあるローテーブルが完成しました。
重厚感どころか本当にめちゃくちゃ重いです。
なにしろ鉄のかたまりのような台車をベースにしてますからね。
ローテーブルを押してやれば車輪もキュルキュルと動きます。
かといって勝手に転がってしまうほど軽くもないので安定はしています。
オシャレ度は高いと思いますが、テーブルとしては表面にキズや凹凸がありますので書きものをするには下敷きをしないと、ガタガタしてしまうので書きものには向きませんね。